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アクアフォームなどの現場発泡ウレタン断熱材についての注意事項

今回のコラムはけっこうマニアックな内容となっておりますのでご容赦ください。

最近、お客様と断熱の話しでよく話題に上がるのは現場発泡タイプの硬質ウレタン断熱材。特にアクアフォームが結構有名で、アクアフォームってどうなんですか?的な質問けっこうありますね。
アクアフォームのような100倍発泡ウレタンの特徴としては、断熱性能もそこそこ良くてスプレー発泡で隙間なく充填できるので気密性能が取りやすく、ビルダーさんにけっこう人気の断熱材です。
アクアフォームの詳しい内容はコチラの動画をご覧ください

アクアフォームについては弊社でも天井面(桁上・桁下など)での断熱施工にたまに使わせてもらっております。
数年前までは主力断熱材として積極的に採用しておりましたが、弊社の場合グラスウール(高性能20K)のほうがコスト的にも断熱性に於いても有利なので採用する機会が減りました。

このコラムを通じて硬質ウレタンフォームの性質をぜひ知っておいて欲しいと思います。

アクアフォームを採用する際の2つの注意点

1. アクアフォームは水を吸います

本来、アクアフォームなどの連続気泡タイプの断熱材は吸水率が高く、湿気もバンバン通します。
施工する場合は室内側の防湿シートは必須。モノコック工法で外壁面に構造用面材を用いる場合、OSB合板では湿気を塞き止めて壁内結露を招く可能性がありますので、「ダイライト」など透湿性の高い面材がベストです。

また基礎内断熱工法で用いる場合は、万が一配管からの水漏れやコンクリート打継部分からの漏水があると、断熱材が水を啜って性能が著しく低下するリスクもありますので、もし基礎断熱に用いる際は、独立気泡で水を吸いにくい「アクアフォームNEO」をお勧めします。

2. スキン層はなるべくカットしないで

スキン層の説明の前に、実はアクアフォームにもいろんな種類がありましてまずはアクアフォームシリーズについてお話いたします。
主に住宅用で使用されているのは、
ノーマルタイプの「アクアフォーム」(吹付硬質ウレタンフォームA種3 熱伝導率0.036)
ノーマルタイプよりウレタン原料を30%削減した「アクアフォームLITE」(熱伝導率0.038)
吹付硬質ウレタンフォームA種1Hの「アクアフォームNEO」(熱伝導率0.021)
この3つになります。※熱伝導率は数値が小さいほど高断熱
ノーマルなアクアフォームは空気を気泡の中に閉じ込めて断熱するのに対し、「アクアフォームNEO」は中の構造が少し違っていて、ざっくり言うと空気よりも熱を伝えにくい発泡ガスを気泡に閉じ込めて断熱します。

実はこの「アクアフォームNEO」を用いる時に特に気をつけて欲しいのがスキン層についてです。

硬化したアクアフォームを触ってみるとわかりますが、施工後の表面は少しつるっとしていてある程度の硬さがありますが、中は柔らかくスポンジのような感覚です。そして表面のつるっとした硬い部分が「スキン層」と呼ばれ、水分を弾く役割、そして断熱材内部の断熱発泡ガスが外に逃げていかないよう中に閉じ込めておく役割があります。

上の写真は壁にアクアフォームを吹付け終えた状況です。
ボコボコした部分がスキン層ですが、柱の表面からはみ出た部分は平らにカットしてしまいます。そうしないとボードが張れないのでカットするのですが、実はこのスキン層のカットが問題で、スキン層がないと発泡ガスが抜けて空気と置換されるために経年劣化すると言われております。日本建築学会の研究データによると、断熱材の経年変化はスキン層の有無によって熱抵抗値が最大で25%劣化するそうです。
ノーマルタイプでのスキンカットは、より透湿性が増すので防湿シートをしっかり張っていれば断熱性能上の問題はなさそうですが、アクアNEOなどの吹付硬質ウレタンフォームA種1Hの断熱材では注意が必要です。

因みに、スキン層や経年劣化の話しはボード状の硬質ウレタンフォームも同様です。
一条工務店さんやFPの家などがウレタンボードを採用していますね。
FPの家の断熱材「FPパネル」は6面すべてがスキン層に包まれているそうで、それならすごく安心ですよね。

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